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相続弁護士コラム

相続における配偶者の保護 〜配偶者居住権とは?〜

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1 はじめに

2018年7月に、相続に関する法分野(以下では「相続法」といいます。)が大幅に改正され、2019年1月から順次施行されています。
今回の相続法改正の一つの目玉として、「残された配偶者の生活への配慮」が挙げられます。
そこで、本稿では、相続法改正の中から、配偶者保護の観点による改正点を中心に、何がどう変わったのかを詳しく解説していきます。

 

2 配偶者居住権の新設

2−1 配偶者居住権がどうして必要?

夫婦で住んでいる自宅が夫婦の共有であったり、または残された配偶者の名義である場合には、その後の居住場所の確保は問題になりません。しかし、死亡した配偶者の名義であった場合には、残された他方配偶者の居住場所を確保する必要があります。特に、現代の高齢化社会においては、残された配偶者が高齢であることも多く、居住場所確保の要請はより高いものとなってきました。
そこで、今回の法改正では、配偶者のその後の安定した生活を確保できるように工夫がなされました。

2−2 これまではどうだったの?

これまでの法律では、居住不動産について所有権は持分を有していない配偶者は、その後の居住を確保するためには、相続人間での遺産分割により、居住不動産の所有権を取得する必要がありました。
もっとも、不動産となると、その価格は比較的高額であり、相続財産全体の価値の大部分を占めることが少なくありません。その場合、法定相続分で遺産分割をすると、不動産の価値だけで配偶者の相続分の大半を占めることになり、預貯金等の取り分が無くなってしまうことがあります。そうなると、居住場所は確保できたとしても、その後の生活が十分なものとは言えません。
そこで、今回の相続法改正では、不動産自体の権利とは別に、「配偶者居住権」という新たな権利を認めました。

2−3 配偶者居住権の内容・要件は?

配偶者は、配偶者居住権を取得することにより、原則として終身まで建物を使用・収益することができるようになります。
ただし、「配偶者居住権」が成立するには、いくつかの要件があります。
①配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいたこと
配偶者居住権の目的が、これまでの居住環境を保護することにあることから、相続開始時に被相続人所有の建物に住んでいる実態が要件とされます。
②配偶者以外の人との共有でないこと
配偶者居住権は、原則として無償で終身居住できる権利であることから、被相続人が他人と共有していた場合、その人に大きな負担を強いることになってしまいます。そのため、他人と共有の場合には配偶者居住権は認められません。なお、夫婦で共有していた場合は配偶者居住権を取得することができます。
また、配偶者居住権は、自然に発生する権利ではありません。相続人による遺贈や死因贈与により配偶者居住権を取得させる旨を決めたり、遺産分割協議により相続人間で決定して、初めて取得することができます。家庭裁判所の審判によって認めることもできます。
配偶者居住権は、原則として終身の権利とされていますが、一定期間を定めることもできます(特段の指定がなければ終身となります。)。

2−4 第三者に主張するには登記が必要!

配偶者居住権は、登記をしなければ、相続人以外の第三者に主張(対抗)することができません。
そのため、当該居住建物の所有者となった者は、配偶者居住権の設定登記を備える義務が規定されています。

 

3 配偶者短期居住権

3−1 配偶者短期居住権とは?

今回の相続法改正で、配偶者の居住に関してもう一つ新設された制度があります。それが「配偶者短期居住権」です。
こちらも残された配偶者に対して建物への居住を認めるものですが、先ほどの配偶者居住権とは違い、取り決め等が必要とされないものの、期間が一定期間に限られており、第三者に対しても対抗できません。また、配偶者に認められるのは、建物の「使用」のみであり、「収益」することは認められていません。
これは、配偶者短期居住権が、相続開始時に建物に居住していた配偶者に、その建物を相続や遺贈によって取得した者に対して一定の間に限り居住権を主張できることを狙いとした暫定的な権利だからです。

3−2 配偶者短期居住権の期間

配偶者短期居住権の期間は、
① 居住建物について遺産分割をすべき場合には、遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日
② それ以外(遺贈等)の場合には、居住建物を取得した者から配偶者短期居住権の消滅の申入れがあった日から6か月を経過する日
までとされています。

 

4 持戻し免除の意思表示の推定規定

4−1 規定の背景

今般の相続法改正では、以上に見た配偶者居住権の規定とは別の観点からも、配偶者の保護がなされています。
それが、「持戻し免除の意思表示の推定」です。
残された配偶者の居住を確保する方法として、生前贈与や遺贈によって自宅を配偶者に取得させることが考えられます。しかし、これまでの相続法では、このような遺贈や贈与は、「特別受益」に当たり、相続の場面で配偶者の具体的相続分を算定する場合に、受けた価値分を相続財産に加算し、さらにその分を配偶者の取り分から差し引く(すでに受けた。)計算をします(このような計算を「持戻し」といいます。)。
そのため、自宅建物以外の相続財産が多くないケースでは、配偶者は、住居は確保できるものの、それ以外の現預金については受け取れず、結果として生活不安が解消されないということがありました。
このような事態を防ぐ方法として、これまでも相続人が持戻しを免除する意思を遺言で示しておくことが取られていましたが、必ずしも持戻し免除の意思表示がされているケースばかりではありません(そもそも、「持戻し」という制度を知らないことの方が多いのではないでしょうか。)。
そこで、被相続人の意思に反して、配偶者の保護を図れない自体を防ぐため、一定の場合に「持戻し免除の意思表示」が推定される規定が創設されました。

4−2 どのような場合に推定される?

持戻し免除の意思表示が推定されるのは、①婚姻期間が20年以上にわたる夫婦間で、②被相続人が配偶者に対して居住建物又はその敷地を遺贈・贈与した場合です。
この規定は、あくまでも被相続人の意思を「推定」するものに過ぎませんので、それと反対の意思が示されていたことが明らかになれば(配偶者以外の相続人が遺産分割訴訟で証明できた場合)、持戻しされることになります。

 

5 まとめ

このように、今般の相続法改正では、残された配偶者のその後の生活を保護する観点から、相続における配偶者の権利の創設がなされました。
もっとも、今回ご紹介したように、その制度を相続される側も相続する配偶者も双方がきちんと把握している必要があり、遺言の制度により更に実効的になるような工夫も必要です。
ここでは触れませんでしたが、今回の法改正では、遺言を利用しやすい仕組みも整備されたことから、残された配偶者が安心して生活していける準備を、今のうちからしておくことをおすすめします。
是非一度弁護士にご相談ください。

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